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臨床発達心理実践研究2007 第2巻

臨床発達心理実践研究2007 第2巻 4-15

養護学校における地域のセンター的機能としての活動
―校内体制と特別支援教育コーディネーターを中心とした地域学校支援

三原 富士子
埼玉県立騎西養護学校・特別支援教育コーディネーター

特別支援学校における特別支援教育コーディネーターとしての2年間の実践について報告をする。
校内組織の見直し、地域のセンター的機能を構築するために、まずは地域への支援を開始した。
地域の小中学校への支援としては、要請に応じた巡回相談をはじめ、保護者からの相談に対しても、真摯に対応することを心がけ、発達検査や支援会議などの行い、「困りを抱えている」本人を始め、家庭生活支援・そして学校、教員支援を、必要に応じて医療や福祉などの関係機関と連携も図ってきた。
これは教員、コーディネーターの使命としてだけでなく、臨床発達心理士の掲げる理念の「困りを抱える人たちを支え、支援する」ことを実行してきたからといえる。


【キー・ワード】特別支援教育・特別支援学校・地域センター的機能・外部教育相談


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 16-21

校内サポート体制による「気になる」児童をかかえる担任教師への支援
―特別支援教育コーディネーターとしての通級学級担当教師の役割

高階 惠子
東京都港区立東町小学校

七木田 敦
広島大学

明かな障害のある子どもや、「学習障害」「高機能自閉症」「ADHD」「アスペルガー症候群」などのいわゆる特別なニーズのある子どもについての指導は、障害児教育の発展と様々な研究成果が実を結んだ結果、サポートシステムが整えられつつある。
しかしながら、顕著な障害は認められないが、「ちょっと気になる子」や行動上の問題のある子どもや学級集団に適応できない子どもなどへの支援は未だに整備されていないのが現実である。
また、学級担任においては、多大な労力を必要とし、自分の教師としての力量を試されている。
報告の事例はそのような担任と子どもへの支援のあり方を、特別支援教育コーディネーターという立場からの支援について検討した。


【キー・ワード】気になる子ども,発達支援,サポ-トシステム,特別支援教育コーディネーター


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 22-31

小規模小学校における校内支援体制整備の試み
―支援の階層化と特別支援教育コーディネーターの役割

堀 彰人
八千代市立米本南小学校

小規模小学校において職員数や職員個々の抱える分掌数など種々の制約がある中で特別支援教育を進めていくにあたり,支援の必要な範囲やその程度によって,支援体制を階層化させた。
さらに,「個に応じた指導」や日常,通常の学級担任が経験的に行ってきた工夫と特別な教育的ニーズに対する支援とが連続性のあるものとして捉えられるよう,研修や情報発信を心がけてきたところ,職員の理解や実践の深まりがみられた。


【キーワード】特別支援教育,校内支援体制,特別支援教育コーディネーター


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 32-42

発達的視点にもとづく特別支援教育コーディネーターの役割
―発達心理学の知見を教育実践にいかに生かしていくのか

渡辺 実
花園大学

発達的視点を持って,特別支援教育コーディネーターの仕事を行っていくときには,どのような発達心理学の考え方と知見が必要なのかを文献と筆者の実践事例から述べた。
特に象徴機能の発達と自我の発達が,特別支援教育対象児には必要であると考え,三項関係の考え方や,ワロンの自他二重性から自我二重性への自我構造の発達の考えから,他者との関係を育て,自我発達を支援することの重要性について述べた。
また,筆者の巡回相談での具体的な児童の事例相談において,チームで相談することの大切さと特別支援教育コーディネーターとして,発達的視点から子どもの発達課題をどのようにとらえ,教育実践に生かしていくかについて述べた。


【キーワード】発達的視点,特別支援教育,象徴機能の育成,自我の発達,巡回相談


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 43-50

特別支援学校におけるセンター的機能の現状と課題
―特別支援学校コーディネーターの立場からの報告

今井 文子
滋賀県立草津養護学校

2007年4月より学校教育法改正により「特殊教育諸学校」は「特別支援教育学校」として名称変更される。
また「特別支援学校のセンター的機能を努力義務として課す。」という6項目が明記された。
その課題について、従来の教育相談活動から引き続き関わってきたいくつかのケースについて「特別支援学校コーディネーター」の立場からどのような支援が可能であるのか報告したい。
また、今後の支援学校としての在り方についても提起したい。


【キーワード】特別支援学校のセンター的役割,専門性,コーディネーター,巡回相談員,発達支援システム


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 51-56

高機能自閉症児の仲間関係を育てる「遊び」の指導

戸田 淑子
相模原市立桜台小学校きこえとことばの教室

本研究は、通級指導教室に通う高機能自閉症児に対して行った「遊び」の指導の効果を検討したものである。
週1度の指導で,他児とタイミングを合わせる運動調整機能を高め、特定の児童を認識させ、ゲームや遊びのレベルを徐々に高めながら十分に習熟させ、遊びを決める台本で遊びを決めて遊べるように促した。
ほぼ一年間の実践の結果、小集団の児童が互いに仲間となった。
「遊び」の指導により運動調整機能や情動調整機能が発達し、遊びを数多く経験することで安定的な仲間関係が形成できることが明らかになった。
仲間関係が安定した時期と、学級で担任が自己調整を促す支援が成功した時期は重なっており,学級との連携が重要であることが示された。


【キーワード】通級指導教室,高機能自閉症児,遊び,仲間関係,連携


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 58-63

性同一性障害(男→女)の思春期男子と人格障害を持つその母親の症例
―治療者の情動に動揺を与える患者について

梅宮 れいか
福島学院大学福祉学部

情動に動揺を与える患者に遭遇する場合がある。性同一性障害は、治療者の性の概念を動揺させる。
また人格障害は、相手を動揺させる対人関係のパターンを持っている。
母親が人格障害で彼女の息子が性同一性障害(男→女)という症例を経験したので、症例の解釈を報告しつつ、想定される治療者側の動揺とその対応策を示す。


【キーワード】性同一性障害,人格障害,親子関係,思春期,社会適応


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 65-74

5歳児を対象とした巡回相談型健康診査の発達援助の方向性
―高機能広汎性発達障害児の事例から

石川 由美子
宇都宮短期大学

軽度発達障害児の早期発見を目的に年中児童(5歳児)を対象にした巡回相談型健康診査の取り組みが行われている。
まず初めに,この取り組みの概要を紹介し, この導入によってもたらされた発達評価の特徴を示した。
次に巡回相談型健康診査で関わった事例を通して以下の点を検討した。
1)発達を促す援助を備えたシステム構築の方向性,2)関係者および関係機関との機能的相互作用プロセスのあり方,3)巡回相談型健康診査で生じる発達評価の特徴を生かした発達援助の方向性。
以上の検討から,軽度発達障害児への発達援助としての巡回相談型健康診査の有効性が示された。


【キーワード】巡回相談型健康診査,5歳児,軽度発達障害,機能的相互作用,発達援助


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 76-81

「行動と学習に関する基礎調査票」の作成及び活用について
―特別支援教育における児童の支援のために

黒澤 礼子
聖徳大学幼児教育専門学校

特別支援教育を効果的に行うためには,個々の児童生徒の特性を客観的・多面的に把握し,適切な育成支援計画を作成することが肝要である。
そのためには,児童の行動と学習に関する判断の基準となるものが必要である。
本研究では,教育現場で使用可能な,スクリーニングテストを作成し,結果をレーダーチャートに反映させることにより,誰でも同じ基準で子どもの行動特性を把握し,円滑に教育的支援を行うことを可能にした。
また,その調査票を活用し,教師や保護者にコンサルテーションを行った結果を事例報告として紹介した。


【キー・ワード】特別支援教育,行動と学習に関する基礎調査票,レーダーチャート


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 83-88

2歳児集団での遊びを楽しむための関係調整
―他児との関わりに難しさのみられたY児とその母親への支援

坂上 裕子 加藤 邦子 沼崎 裕子 京野 尚子
(財)小平記念日立教育振興財団 日立家庭教育研究所

日立家庭教育研究所では,子育ち・子育て支援を目的とした2歳児親子教室を運営している。
2歳代は,探索欲求の高まりとともに子どもの関心が家庭の外の世界へと向き,親子関係から仲間関係への移行が生じる時期にあたる。
またこの年代は自我の育ちが顕著な時期でもあり,子どもが仲間に親しみを持ち,自己を発揮しながら集団での遊びを楽しめるようになるためには,子どもの発達や個性に応じた支援と,親に対する支援のが両方が必要とされる。
本研究では,集団での遊びへの参加や他児との関わりに難しさがみられたY児とその母親への支援過程を振り返り,子どもが集団での遊びを楽しめるようになるための支援のあり方について考察する。


【キー・ワード】2歳児,他児との関係調整,母親支援/p>


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 90-94

巡回相談者による保育者への交流型コンサルテーション
―保護者との関係改善を目指して

小林 典子
医療法人井田会 五位堂こころのクリニック

本研究では、保育者の発達支援につながるコンサルテーションのあり方について、保育者と保護者との関係改善に向けた1事例を取り上げ、その支援プロセスを検討することを目的とした。
その結果、数回の実践発表の場を通じて、自由に意見交換や質問のできる交流型のコンサルテーションを行うことによって、同じ問題をもつ保育者に共感したり、反省的に実践を振り返り客観的に問題を捉えることが、困難な問題解決と共に保育者の専門性の獲得にも必要であった。


【キー・ワード】保育所巡回相談, 交流型コンサルテーション, 社会情緒的サポート, 保育者の発達支援


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 96-101

いじめによる不登校生徒(女子中学生)への障害児学級での支援について

森岡 茂樹 名張市立北中学校

この論文は,いじめをうけ不登校になった女子中学生A子が,障害児学級に通学することを通して,家庭での引きこもりからぬけだし,彼女にとって現実的な地元の高校を選択した事例である。
障害児学級(小集団)での生活を通して居場所を獲得し,彼女の得意な教科の学習や資格をとることにより自尊感情を育むことができた。
このようなA子の事例を通して不登校の生徒が,障害児学級での学習することが有効な条件を考察した。
本年度から特別支援教育が本格的に実施されるなかで,特別支援学級の新しい活用法として参考になればと思い事例を提出した。


【キー・ワード】いじめ, 不登校, 障害児学級, 居場所, 自尊感情


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 103-107

通常の学級に在籍する自閉症児の保護者に対する教育相談担当者としての支援の試み

相澤 雅文
仙台市立桂小学校教諭

相澤 悦子
仙台市立西山小学校教諭

本実践は,発達や集団適応に不安をかかえる自閉症児の保護者との継続的な教育相談を通し,学校が身近な相談・支援機関としての役割を果たす意義について検証することを目的とした。
現在,学校は発達障害のある児童への支援体制の整備が希求されている。
通常の学級に在籍する特別な教育的ニーズのある児童に対する迅速な支援は,教育相談がその窓口となるケースが多い。
児童のもつ課題を整理し受容や共通理解を進めるためには,教育相談担当が発達に関する視点をもち,保護者の心情を共感的に受け止めながら継続的に教育相談を行う必要がある。
このことは,児童の理解や支援方法を共有するばかりではなく,保護者自身をエンパワメントすることにもつながる。


【キー・ワード】教育相談,保護者支援,発達障害


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 109-115

養護学校における乳幼児発達支援について

西山 博
千葉県立八日市場特別支援学校

近年,各養護学校は,早期からの教育相談の場と機会を提供していくことが求められている。
本校も,1999年から,地域の保健センターと連携し,障害のある乳幼児とその保護者を支えるネットワークづくりに取り組んでいる。
本稿では,A町保健センターとの協働による乳幼児発達支援について、主にA町主催「親子遊び教室」と本校主催「発達支援教室」の実践について紹介する。
併せて,本地域において本校が求められている乳幼児発達支援の機能について考察する。


【キー・ワード】親子遊び教室,発達支援教室,保護者支援,保健師との連携


臨床発達心理実践研究2007 第2巻 117-122

乳児健診での絵本体験にみる親子の関わり

田丸 尚美
鳥取市中央保健センター

生後7ヶ月児を対象とする乳児健診において、親子が絵本の読みきかせを中心にした遊びを体験するコーナーに取り組み、その実践を①親子の行動や関係の観察記録②読みきかせ体験直後に行ったアンケート調査と子どもが1歳半になってからの事後アンケート調査③コーナーの実践に関わった保健師・読みきかせボランティアらへのインタビューという3つの資料から検討した。
調査から、子どもとともにゆったりした関わりを楽しむ時間をとる上で、絵本や手遊びなどを具体的に体験として提供する実践の効果が確認された。
個別支援の必要なケースをつかむ上でも手がかりになる場であると同時に支援の具体化が次の課題である。


【キー・ワード】乳児健診,絵本体験,いないいないばあ,親子の関わり