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臨床発達心理実践研究2006 第1巻

臨床発達心理実践研究2006 第1巻 39-43

2歳児親子教室における感覚・解放遊びの意義について

沼崎 裕子  加藤 邦子  京野 尚子  坂上 裕子
(財)小平記念日立教育振興財団 日立家庭教育研究所

日立家庭教育研究所では,1978年より親子教室を開催し,3歳以下の子どもとその母親及び父親に子育ての支援の場を提供するとともに,研究を積み重ねてきた。
当所で乳幼児期には,「遊び」を通して自然な発達や人間関係が促進されると考え,親子で“遊び”を共有する体験を取り上げる。 「感覚・解放遊び」では,親子で同じ物に向き合い感覚を共有する心地よさを感じ, 他の親子とも場を共有することで人と人をつなぐコミュニケーションの手段になる。
本研究では,このような遊びを親子で共有する体験を,特に支援が必要と思われた1ケースを対象に1年間追跡することによって,介入指針,親子の変容を明確にし,親子に対してどのような支援が有用であるか明らかにする。


【キー・ワード】感覚・解放遊び,“遊び”を共有,子育て支援プログラム


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 45-50

軽度発達障害が推測された幼児への支援過程の検討

高橋 ゆう子
大妻女子大学家政学部

本研究では,保護者からニーズとされたことを尊重しながら行った支援のプロセスを検討することを目的とした。 対象となったのは4歳2ケ月の男児で,来談に至るまでの経緯を踏まえた上で,いくつかの検査が実施され,動作法が主なアプローチとして適用された。
その結果,①身体への気づき方に変化がみられ,合わせてセラピストとの課題遂行の共有の仕方が変化した。
②アプローチを通して,保護者の本児に対する理解の仕方や見守り方にも変化がみられた。
以上から,感情のコントロールの改善をねらったアプローチの一つとして動作法が有効であること,また支援のプロセスにおいては保護者との協働が重要であることが示唆された。


【キー・ワード】軽度発達障害,動作法,保護者支援


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 52-56

幼稚園教諭への養育スキル研修が幼児の行動に及ぼした効果

立元 真
宮崎大学教育文化学部

児玉 育子 井上 妙子 吉川 瑞枝
学校法人富高学園大王谷幼稚園

本研究は,幼稚園教諭の技術向上のために,養育スキルプログラムを教諭が保護者に対して提供することを前提として実践的に研修した。
この結果,教諭の保育スキルは,『援助・賞賛的な働きかけ』『一貫性のない関わり』について改善が示された。
子どもたちへの影響を年長児の1クラスに絞ってみたところ,研修開始直前から研修終了後にかけて,教諭に対する信頼感・安心感が増し,依存傾向が低下し,活動性が高まるといった良好な変化がみられた。
また,子どもの行動傾向についても,社会的スキル領域のすべての下位尺度において改善が見られ,問題行動領域においても改善している方向性が示された。


【キー・ワード】養育スキル,愛着,予防的介入,幼稚園教諭


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 58-63

地域に信頼される特殊学級をめざして

小林 徹
檜原村立檜原中学校

A中学校特殊学級における筆者による6年間の教育実践を総括し,その分析を試みた。
当初地域に特殊学級の存在が認められず,生徒が1名にまで減少してしまった。
そこで,生徒や地域のニーズに向き合った,さらにていねいなサービスを作り上げることで,地域との新たな信頼関係を構築しようと考えた。
具体的方策として「生徒の発達を支える授業」と「地域との連携」を車の両輪として位置付け,さまざまな取り組みを開始した。
実践の中で,特殊学級の生徒や保護者,通常学級の生徒,そして地域のそれぞれに異なったニーズがあり,それらにきちんと対応していくことで,新しいニーズが見えてくることがわかった。


【キー・ワード】学級運営(経営),教育課程,知的障害学級,地域連携,障害児理解教育


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 65-71

特別な教育的ニーズを持つ児童を支援する校内支援システム

小野 學
川崎市立東菅小学校

本校は「一人ひとりを大切にする教育」を学校経営の目標としてきた。
その一環として障害があるから特別支援教育を行うのではなく,障害の有無にかかわらず「学習の遅れ」や「行動上の問題」など「特別な教育的ニーズ」を持つ児童の支援に取り組んできた。
支援を開始するにあたり,広報活動を充実させ,校内支援システムを立ち上げ,保護者も含めた支援にあたる関係者間でニーズの明確化と共有化をはかり「個別の教育支援計画」を作成して支援に取り組んだ。


【キー・ワード】特別支援教育,特別な教育的ニーズ,校内支援システム


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 73-77

特別支援教育センター的機能を担う養護学校における臨床発達心理士の役割

田村 百代
都立矢口養護学校

今日,特別なニーズを持つ子どもたちを取り巻く教育環境は大きく変化している。
また,今後は,特別支援教育という考えが進み,地域での支援活動を中心に展開されるであろう。
2003年3月の「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」を受けて,東京都教育委員会は,2004年11月に「東京都特別支援教育推進計画」が示された。
その中で,新たな連携体制の構築ということが示された。前任校では,2004年度より世田谷区との連携を中心に特別支援教育を進めている。
今回は前任校における特別支援教育推進に関連した臨床発達心理士としての役割について実践報告し,今後の課題を分析する。


【キー・ワード】特別支援教育コーディネーター,センター的機能,校内支援


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 79-83

注意欠陥多動性障害の小学生男児に対する5年間の通常学級でのコンサルテーション

内田 賢子
竹早教員保育士養成所・公立小学校相談員

ADHD児の2年生から6年生までの学校内での相談事例を検討した。
それは本児童と母親への指導と,担任や他の教師への積極的な支援を実行したものである。
本児童が相談初期の2年生の頃の問題行動は重大な支障をきたしており,相談員はお互いが共通の理解をもつようつとめ連携した。
結果として問題は解決の方向に向かう。
早期支援,精神医学的・発達心理学的視点からの支援システムの再構築がなされることが重要であると思われる。


【キー・ワード】連携,ルール理解,達成感と意欲


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 85-89

軽度知的障害で良好な人間関係を持つことが苦手な女子中学生への対応・支援について

森岡 茂樹
名張市立北中学校

この論文は,学級(集団)になじめず,エスケープを繰り返していた中学校1年生の女子A子を,小集団(障害児学級)で教育した実践例である。
当時のようすから見て,彼女は,怠学傾向の不登校に陥るか,非行集団に入るかのどちらかにすすむ可能性が高く,その岐路であった。
軽度の知的障害をもつ彼女が,小集団の中で,居場所を再獲得し,アセスメントに基づくわかる授業で成就感をもち,またゲームをとおし対人関係の修復を図った。
その結果,自尊感情を育むことになり,危機を脱することになった。


【キー・ワード】居場所,SST,二次障害,自尊感情,自己決定


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 91-96

思春期自閉症児の「問題行動」
―発達的理解と教育的対応

今泉 祥子
京都府立桃山養護学校

攻撃行動を中心とする「問題行動」を頻発していた中学部の一事例をとりあげ,1年間(2003.4~2004.3)に出現した「問題行動」の分析を行い,「問題行動」の発達的な理解と教育的対応について検討した。
①「問題行動」は,機能的にみると,a.攻撃行動,b.からかい行動・ふざけ,c.性的行動,d.強迫的・儀式的行動,e.閉じこもり,f.その他 に分類された。
②「問題行動」の中に,自分なりの見通しやつもり,自己主張や自我要求,不安な時の他者へのからかいなど,通常の年齢で3歳~3歳後半にみられる社会性と自我の発達の姿を確かめることができた。
③「問題行動」への実際的な対処とともに,文脈理解の力や他者の「こころを読む能力」を育てるための長期的な展望をもつ教育指導が重要である。


【キー・ワード】思春期自閉症,「問題行動」,自閉症児の発達,教育的対応


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 98-102

アスペルガ一障害をもつ高校生と母親への支援

野口 昌宏
作新学院高校

本研究は,高等学校における「アスペルガ一障害」と診断された生徒への対応とその母親に対する支援のあり方について明らかにするために,学級担任としての著者が1年間にわたって実践した内容と結果を考察したものである。
当初,対人関係におけるトラブルや学習障害による自信の喪失,さらに二次的障害としての不登校も心配されたが,本人・母親・クラス集団への支援,校内指導体制・物的環境の整備という5つの支援の柱をもとに支援計画を立案してこれらを同時的に実践したところ,教室内での問題行動は抑えられ,欠席も極めて少なかった。
また今後の課題として,将来の就労も考慮した高校における個別適応支援教育の必要性が示唆された。


【キー・ワード】アスペルガ一障害,高校における対応,問題行動の抑制,個別適応支援教育


臨床発達心理実践研究2006 第1巻 104-109

広汎性発達障害が疑われる生徒に対する就労支援

樋口 陽子 神田 美栄子
北九州市立八幡養護学校

本研究では,広汎性発達障害が疑われる高等部生徒に対し,本人の自己決定を尊重し,職員全体で役割分担して保護者や地域と連携した支援を行い,企業就労に結びついた事例を取り上げる。
学校や実習での取り組みの中で,本人が就労への目的意識を持つことができ,「働く」ことを体感することができた。事例を通して,職員全体で生徒の障害特性への理解を深め,支援計画を作成し手立てを工夫して実践,評価を行ったこと,現状や課題について,保護者と共通理解し,役割分担して取り組んだことがポイントであったと思われる。


【キー・ワード】広汎性発達障害,就労支援,自己決定,サポート企業,連携